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複数サイトのサーチコンソールを一括管理する方法
朝、Google Search Console(サーチコンソール)を開く。1つ目のサイトのクリック数を見て、異常がないことを確かめる。プロパティを切り替えて2つ目。また切り替えて3つ目——。
サイトが3つならまだしも、5つ、10と増えると、この作業は毎日の負担になります。しかも厄介なのは、手間がサイト数と確認項目の掛け算で増えることです。1サイトあたり4項目を見るとして、10サイトなら40回の確認になります。
そして掛け算で増えるのは手間だけではありません。見落とす確率も一緒に増えます。8つ目のサイトを見る頃には集中力が落ちていますし、「先週も特に問題なかったから」と流す日も出てきます。
この記事では、まずサーチコンソールの現行仕様を公式情報で確認したうえで、切り替え運用の負担を減らす方法を難易度順に整理します。それぞれの限界も正直に書きます。
事実: サーチコンソールに「横断画面」はない
最初に、できることとできないことの線を引いておきます。この節の内容は、すべてGoogleの公式ヘルプで確認した範囲に限っています。
プロパティは切り替えて見るもの
サーチコンソールのレポートは、1つのプロパティを対象に表示されます。複数のサイトを見るときは、画面左上のセレクタで対象を切り替えます。公式ヘルプにはこう説明されています。
プロパティ セレクタ: ヘッダーの左端にあるこのプルダウン メニューを使用すると、管理対象のプロパティを切り替えたり、新しいプロパティを追加したりできます。
複数のプロパティを1つの画面に並べて表示する機能は、公式ヘルプで案内されているものの中には見当たりません。 「切り替えて見る」が前提の設計になっています。
登録できる数そのものは足りている
プロパティの登録数には上限があります。
Search Console アカウントには最大 1,000 個のプロパティを設定できます。
— ウェブサイトまたはプラットフォームのプロパティを Search Console に追加する|Search Console ヘルプ
個人や小規模の運営で1,000に達することはまずありません。**つまり困りごとは「登録できない」ではなく、「登録できてしまうが、見に行くのは1つずつ」**という点にあります。
通知はサイトごとに調整できない
もう1つ、サイトが増えると効いてくる仕様があります。メール通知の設定です。
メール設定はプロパティ レベルではなくユーザーレベルで設定されるため、管理できるのは自分のメール設定のみです。
プロパティごとに異なるメール設定を指定することはできません。
ここが地味に効きます。サイトが増えるほど届くメールの本数は増えますが、「このサイトのこの種類の通知だけ止める」ということはできません。全部受け取るか、全部止めるかです。
結果として起きやすいのが、通知に慣れて読まなくなることです。本数が増えて内容を追えなくなり、やがて開かなくなる。そうなると、本当に見るべき通知も一緒に埋もれます。サイトが増えるほど見落としが増える構造というのは、こういう意味です。
一括管理に近づく方法(難易度順)
サーチコンソールの中に横断画面が無い以上、外側に自分で作ることになります。簡単な順に4つ挙げます。
1. 運用の工夫で減らす
道具を増やす前に、まず回数を減らす方向です。効果は限定的ですが、今日ゼロ円でできます。
- プロパティのURLを直接ブックマークする: 各プロパティの検索パフォーマンス画面はURLで直接開けます。目的の画面を開いた状態でアドレスバーのURLをそのままブックマークすれば、次からは1クリックでその画面に入れます。セレクタを操作する手数が消えるうえ、ブックマークをフォルダにまとめておけば全サイトをタブで一括に開けます。切り替えではなく「並べて開く」に変わるだけで、体感はかなり違います
- 確認する曜日を決める: 毎日全サイトを見るのをやめ、「月曜に全部」「平日は主要2サイトだけ」のように分けます。見る回数そのものを減らします
- 見る指標を絞る: 最初からクリック数だけ、と決めておきます。掛け算の片方(確認項目)を小さくする効果があります
- 期間の指定を揃えておく: 毎回「過去28日」など同じ条件で開くようにすると、サイトごとに条件を選び直す手間が消え、見比べもしやすくなります。ブックマークするURLに期間の条件まで含めておけば、開いた時点で条件が揃います
正直に書くと、これは根本解決ではありません。手間は減りますが消えません。サイト数が増え続ければ、いずれまた立ち行かなくなります。それでも、次の方法に進む前の踏み台としては十分機能します。
2. Looker Studio で並べる
Looker Studio(旧データポータル)には、サーチコンソールのデータを取り込むコネクタがあります。プロパティごとにデータソースを作り、1つのレポートにグラフを並べれば、複数サイトの数字を1画面で見渡せます。
- 無料で使えます
- 一度作れば、以後は開くだけで最新の数字が並びます
- サイトごとのグラフを縦に並べる、表にまとめる、といった見せ方を自分で決められます
作り方の大枠は次のとおりです。
- Looker Studioで新しいレポートを作る
- データソースとして「Search Console」コネクタを選び、対象のプロパティを指定する
- 表示する表(サイト全体かURL単位か)と検索タイプを選ぶ
- 同じ手順をサイトの数だけ繰り返し、各データソースのグラフを1つのレポートに並べる
「横断ダッシュボードが欲しい」という要望に対する、最も手の届きやすい答えです。
ただし、ここで必ず押さえておくべき注意があります。Looker Studioに繋いでも、データは保存されません。
Looker Studioのサーチコンソール コネクタは、グラフを表示するたびにGoogle側へ問い合わせて、その場でデータを取ってきています。Looker Studio自身がデータを溜め込んでいるわけではありません。 そのため、16ヶ月より古い期間を指定しても表示できません。きれいなダッシュボードが常時見えていると「これで蓄積できている」と感じやすいのですが、見えているのは毎回取り直した最新の16ヶ月です(サーチコンソールのデータは16ヶ月で消える — 消える前にやるべき保存設定)。
もう1つ、実務上の負担もあります。データソースはプロパティごとに作る必要があります。 サイトが10あれば10個です。サイトを増やすたびにレポートの編集も発生します。そして並べるグラフが増えるほど、レポートを開いたときの読み込みは重くなります。
3. スプレッドシートに集約する(GAS)
Googleスプレッドシートと GAS(Google Apps Script)を組み合わせると、複数サイトのデータを1枚のシートに集めることができます。
考え方はシンプルです。
- 対象プロパティのURLを配列で持つ
- その配列をループし、1件ずつSearch Console APIを呼ぶ
- 取得した行に「どのサイトのものか」を示す列を足して、同じシートに追記する
- 時間主導トリガーで毎日自動実行する
サイト名の列が入った1枚のシートができれば、あとはピボットテーブルでも並べ替えでも自由に扱えます。Looker Studioと違い、シートには実データが残ります。日付を持たせて追記していけば、16ヶ月の窓を越えて手元に積み上がっていきます。
- 費用はかかりません
- 「見渡す」と「貯める」を同時に満たせる、数少ない無料の手段です
1点だけ、サイト数が増えたときの注意があります。1回の実行で全サイトをループするため、サイトが増えるほど1回あたりの実行時間が伸びます。 GASの実行時間には上限があるので、サイト数が多い場合は「1日1サイトずつ順番に回す」「対象を分割して別のトリガーで走らせる」といった分け方が必要になります。ここは自分で設計することになります。
4. Search Console API で自前のダッシュボードを作る
いちばん自由度が高い方法です。APIから取得したデータを自分のデータベースに貯め、表示も自分で作ります。
- サイト横断の集計を、自分の見たい形で自由に設計できます
- 増減順に並べる、閾値を超えたサイトだけ色を付ける、といった処理も自分で書けます
- 保存先も自分で持つので、期間の制約から解放されます
そのぶん、認証・取得・保存・表示のすべてを実装し、動き続けるように保守する必要があります。サイトが増えても手間が増えないのはこの方法の強みですが、最初の実装コストと、その後の保守がまるごと自分に乗ります。
それぞれの限界(正直に)
4つとも実際に使えますが、詰まる場所が違います。
| 方法 | 費用 | 必要な知識 | 主な限界 |
|---|---|---|---|
| 運用の工夫 | 無料 | 不要 | 手間は減るが消えない。サイトが増えれば元に戻る |
| Looker Studio | 無料 | 不要〜レポート作成 | 保存されない(16ヶ月の窓はそのまま)。データソースはサイト数ぶん作る。並べるほど重くなる |
| スプレッドシート+GAS | 無料 | スクリプトの設置 | 保守が要る。エラーで止まっても通知は来ないため、気づかず数週間止まることがある。行数が増えると重くなる |
| Search Console API | 無料 | プログラミング・OAuth | 実装と保守がまるごと自分に乗る。表示側も自作 |
共通の限界: どれも「異変を教えてはくれない」
方法ごとの違いよりも、実は4つすべてに共通する限界のほうが重要です。
どれを選んでも、見に行く習慣は残ります。Looker Studioで1画面にまとめても、シートに集約しても、開かなければ気づけないことに変わりはありません。横断ダッシュボードは「見渡す時間を短くする」道具であって、「見なくてよくする」道具ではないのです。
クリックが半分になったサイトがあっても、ダッシュボードは黙っています。気づくのは次に開いたときで、それが3日後なら3日ぶん遅れます。本当に減らしたいのは画面を切り替える手間ではなく、毎日見に行かなければならないこと自体かもしれません。
この手間をなくすツールを開発中です
複数サイトを見渡す部分を引き受けるサービスとして、サチモリを開発しています。
- Googleアカウントで接続すると、複数のサイトを1つのダッシュボードで見渡せます
- クリック・表示回数・掲載順位を横断で並べ、増減順に並べ替えれば「今週落ちたサイト」が一目でわかります
- 接続は読み取り専用の権限のみで行います
プロパティを1つずつ切り替える必要はなくなります。
そのうえで申し添えると、まずはこの記事の「1. 運用の工夫で減らす」からでも始められます。プロパティのURLをブックマークして、見る曜日と指標を決めるだけでも、毎朝の負担は目に見えて軽くなります。道具を増やすのはそのあとで構いません。
現在開発中で、サチモリ(サーチコンソールデータ保存・監視サービス)では事前登録を受け付けています。
よくある質問
サーチコンソールに複数サイトをまとめる公式機能はありますか?
公式ヘルプで確認できる範囲では、複数のプロパティを1つの画面に並べて見る機能は案内されていません。ヘッダーの「プロパティ セレクタ」で管理対象のプロパティを切り替える形が基本です。複数サイトを一覧にしたい場合は、この記事で紹介するLooker Studio・スプレッドシート集約・APIのいずれかで、サーチコンソールの外側に自分で作ることになります。
プロパティは何個まで登録できますか?
Google公式ヘルプに「Search Console アカウントには最大 1,000 個のプロパティを設定できます。」と記載されています。個人や小規模の運営でこの上限に達することはまずないため、実務上の制約になるのは登録できる数ではなく、増えたプロパティを1つずつ見に行く手間のほうです。
Looker Studioでまとめれば十分ですか?
見渡すだけなら有効ですが、保存にはなりません。Looker Studioのサーチコンソール コネクタは、表示するたびにGoogle側へ問い合わせてその場でデータを取得しています。Looker Studio自身がデータを溜め込むわけではないため、16ヶ月より古い期間は指定しても表示できません。表示と保存は別物として考える必要があります。
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